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大規模太陽光発電施設のイラストはこちらへ返信する形でどうぞ。
取得内定と言うことでこちらにツリーを作っておきます。
失礼します。
EV127の判定にてミスが確認され,罰則が発生しております。
ご確認よろしくお願いします。
http://p.ag.etr.ac/cwtg.jp/syousyo/337
EV127で2つのイベント開示に1口(5マイル)ずつ、計10マイル募金してきました。
リザルトなどないとは思いますが、マイルの算段をしている場合
アテが外れてしまうことになるので報告しておきます
ついでにもう一本。PCが出てこないのは仕様。
/*/
ここは悪童同盟某所。時は折しも一周年記念祭開催の当日であった。
薄暗い室内にまばゆく光る液晶モニターが一つ。
その眼前には室内であるにもかかわらずサングラスをかけ、
さらに黒いスーツに黒い帽子といった出で立ちの痩せぎすの男が腰掛けていた。
「くそっ、電子経路は全部アウトか……肝心なところは全てスタンドアロンで組んで居やがるのか?
セキュリティ技術自体は大したことないレベルだが……」
毒づく男。
モニターに移るのは悪童同盟で開発された核兵器について一般公開されている範囲の資料と、
政庁内データベースで核兵器についてより詳細に調べ上げようとした結果──
すなわち、Data Not Found の文字であった。
そう。彼こそは某組織が核兵器の力を我が物にせんと送り込んだエージェント。
そのリーダーである彼のコードネームは『アルファ』といった。
あわよくば情報ネットワークからその設計図情報を手に入れんとする試みは失敗したが、
この程度は多少の心得がある相手であれば当然のこと。落胆などはしない。
既に彼の部下は別方面での活動を開始しており、その経過報告がもうすぐ届けられるはずだった。
焦ることは無い、核も情報も逃げはしない……と呟くや、葉巻を取り出し火をつける。
その半分ほどが灰になった頃、変則的なリズムのノック音が訪れた。
エージェント同士で意思疎通を図る際に使われる符丁だ。
例えば敵に捕まり連れて来られたときなどはこのリズムの変化で状況を察知できる。
もっとも今回は異常なしという内容のものであったが。
ノックが終わってかっきり15秒後。
ドアを押し開けて入ってきたのは同じく黒ずくめの、こちらは小太りの男だった。
その表情に汗が浮かんでいるように見えるのは砂漠の暑さゆえか。
そんなことは気にも留めず、アルファが問いかける。
「報告を聞こうか、ブラボー」
「は、それが……」
ブラボーと呼ばれた男がおずおずと口を開く。
歯切れの悪い返答からは活動の結果が芳しくなかったと容易に見て取れた。
「やはり、警戒が厳重で近づけなかったか。無理も無いが……」
これもアルファにとっては予想内の事態ではあった。
ブラボーには弾薬庫に格納されているはずの核弾頭を奪取するため監視状況を調べさせていたが、
いくら今日が記念祭の開催日とはいえ、核兵器の管理を甘くするほど間抜けではなかろう。
これ以上のチャンスを作るとなればリスクを承知で破壊工作による陽動か……
などと一瞬のうちにめぐらせた考えが次の瞬間に霧散する。
「いえ、それが逆なのです。むしろ核弾頭のある弾薬庫には容易に近づくことが出来ました。
ですが、そこはもぬけのからだったのです……まるであの宣言が事実だったかのように!」
「なんだと……ばかな!」
あの宣言とは、記念祭開催演説で行われた悪童屋・四季による核兵器の封印宣言である。
国内にある全ての核兵器及びそれに関するデータを破棄。
関連施設についても平和利用に転用できるものを除いて完全凍結と言うものであった。
常識的に考えてありえない選択だ。軍事とて経済活動の一環。
そして経済と言うものは常に拡大することでその構造を維持するものだ。
その中で核兵器と言う切り札の一枚を自ら捨て札にすることは勝負を投げるようなもの。
それゆえ宣言自体は国民の支持を集めるためのパフォーマンスに過ぎず、
実態としてはいつでも持ち出せるように弾薬庫にシールを一枚貼る程度の封印に違いない
というのが周囲の一般的な見解であった。
もちろんそう考えたのはアルファらも同じ。だからこそブラボーを派遣したのだが……
「ダミーの弾薬庫だったという可能性は?」
「ありません。先日の防衛戦で持ち帰られた量を考えれば他の場所では格納し切れません。
仮に分散させたとしてもあそこに一発も残っていないというのは不自然です。
容量のみ考えるなら王城地下にあるという基地には格納できるかもしれませんが……」
「それはない、な。」
ブラボーも肯く。自らの足元に核爆弾を置いていたいとは誰も思わないだろうし、
政治中枢が一人の工作員に消滅させられる危険性を考えれば心情的な問題だけでもない。
国内のどこかに設置されているであろうミサイルサイロの付近とも考えられたが、
現在の悪童同盟にサイロの中におさまるべき長距離ミサイルは存在しない。
ボタン一つで目標へ飛んでいく報復用ミサイルであれば分散して格納することに多少の意義もあろうが、
ミサイルの無い現状ではそのようなところに保管しても奪取される危険性が増すだけである。
その他いくつかの候補も予備調査のデータなどからは否定材料しか出てこなかった。
「つまり、弾頭奪取の線は消えたと言うことか……」
憎憎しげに呟くアルファ。もとより弾頭を奪うのはリスクの高い方法であった。
だが実物を入手できれば資料としてはこれ以上無いものだ。多少のリスクを負う価値はある。
しかしそれとてある程度確実な成算があってこそのことだ。
対象物の所在が手がかりすら分からないような状態でできるような作戦ではなかった。
「データ入手のほうは……いえ、となると残る手段は」
ブラボーが質問しかけてその内容を変える。
データの入手が首尾よく進んでいたならばアルファが実物にこだわる必要もないことに気づいたのだ。
「技術者の確保、ということになるな……」
電子データが無くとも技術者を手に入れられれば断片的にでも情報を入手できる。
もちろんその手段は金銭による買収から実力による拉致まで、問われることはない。
その時アルファの懐から有名なクラシックのメロディーが鳴り出した。
携帯電話の通知はそれがチャーリー──王都周辺の情報収集を命じた第三のエージェントからのものであると告げていた。
「こちらアルファ。首尾はどうだ?」
無造作に問いかけているが、電話に内蔵された暗号化装置によって音声データは変換されており、
通常の傍受では単なる世間話にしか聞こえない仕掛けになっている。その分音質は低下するのだが。
「ターゲットはバザール周辺にいるが、特に護衛などはついていないようだ。
あと、詳細は不明だが我々とは別のどこかの組織が一斉に検挙された。
事件自体を内密にしているようだが、特定エネルギー資源に関するものだと言う噂が政庁内で……」
そこまで聞いて、アルファの脳裡に閃くものがあった。
いままでばらばらだった情報のラインが一つに纏まってゆくのを感じる。
「そうか、これは罠だ!」
「罠……ですと!?」
「規定の連絡ラインで全エージェントに通達。各自120分以内に出国、離脱する!」
それだけ言うとアルファは一方的に電話を切った。
怪訝そうな顔でブラボーが尋ねる。
「罠とは、どういうことです?」
「いいか、考えても見ろ。強大な力を持ったものはそれを独占しようとするものだ」
「だから我々が動いてその秘密を……」
「その思考こそが奴らに読まれているのだ!
奴らは核の封印宣言という目くらましを用いて我々の情報入手ルートを制限する。
そこでバザール内に技術者と言うエサをばら撒いて引っかかった敵を釣り上げ、
そこから芋づる式に組織を壊滅へと追い込む……
残るのは奴らに騙された民衆と利害の一致する組織だけと言うわけだ」
「なんと……」
「今は核の技術よりも我々の存在を察知されないことが優先される。
ここをかぎつけられる前に脱出するぞ!」
「は、はい!」
こうして、人知れず一つの秘密組織がこの地から姿を消すこととなった。
はたしてこの結果が誰かによって意図されたものだったのか、それともただの偶然か……
それは神のみぞ知るところである。
SSはこちらへで設定文の置き場が無くて困りましたが一応ここにw
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悪童同盟において核の封印が方針として決定してから、封印作業は急ピッチで進められた。
弾頭からは燃料の重水素とトリチウム、ならびに着火用レーザーのエネルギーが除去され、
制御用のコンピューターについても制御回路を物理的に切断するなど、
完全に起爆の不可能な状態にされた。
これら既に弾頭とすらいえなくなった鉄の塊は、
地下基地最深部からさらに何重もの隔壁によって隔てられた深深度貯蔵室の中に格納され、
さらに隔壁そのものも硬化樹脂によって全く開放できないように固められた。
同様に開発データについてもデータベースに始まり研究者のメールボックスに到るまで
ありとあらゆる電子データは復活の不可能な形で消去され、
印刷された図面についても焼却処分の上薬品処理され、弾頭と一緒に封印された。
こうして、悪童同盟において核開発に関するデータは研究者の頭脳の中に残るのみとなった。
完全封印と言う観点から研究者に監視をつけデータの流出を防ぐという案も出たのだが
さすがにこれは人道的にも経費的にも問題が大きすぎると言うことで廃案となった。
核の封印の余波は弾頭の処理だけに留まらず、他のところにも影響が出始めている。
たとえば核弾頭搭載の長距離ミサイルを格納予定であったミサイルサイロは、
ミサイルではなく単なる食料を貯蔵する本来の意味でのサイロに転用されたり
貯水槽となって周辺住民の生活安定や周辺地域の緑化などに活用されたりもしている。
また燃料のひとつである重水素を生産するためのプラントは、
原料である海水の淡水化能力をそのまま活用して飲料水などの増産に着手。
はからずも国民の増加に対応して転用したかのような形となった。
このようにたとえ核爆弾とその製造能力を失ったとしても
それ以外のところで使えるところは使えるだけ使い倒すのがこの国のやり方であり、
過酷な環境の地に生きる人間たちのやり方なのだ。
議会にて核の使用を決定したとの事ですが、外交部隊の方で無事に解決した(?)ような雰囲気ですが藩王として表明文を提出しますので対応お願いします。
あと、合併の準備、提出できる取得アイドレスの作業はどんどん進めて下さい。
それから、さらに数時間後。
すでに夜は更け、あたりはしんと静まっている。
「へえ。そんなことがあったのか。おつかれさま」
悪童屋は妻との時間を存分に過ごした後、戻ってきた王城でよっきーから報告を受けていた。
「密輸組織はこの機会に一網打尽。バザールに集まった人々への被害はもちろん、そもそも捕り物があったことすらわからないようにできたのはよかったですね」
「にゃ!」
たまたま他の件で報告に来ていたNEKOBITOと戒人も誇らしげに頷いている。
「黒薔薇は回収して王城に保管してます。どうしますか?」
「王城で展示でもしたらいいんじゃないか」
悪童屋、実にあっさりとした様子でそう言った。
まあ確かに珍しいものではあるし、特別展示という形で展示すれば観光客へのアピールになるかもしれないが。
「いいんですか?」
「下手に隠したほうが、マニアや一部の好事家のコレクター心をくすぐってしまうだろうしな」
「まあ、そうかもしれませんけどね」
存在をあまり知られていないことにより、今回のような密輸事件が起こったのだとすれば、その対処が一番いいのだろう。
結局、よっきーは大至急で城内展示の手配を整えた。
NEKOBITOが展示用の特殊ケースに入れるときに、うっかり手を滑らせかけて、ひたすらあやまり倒していたり、悪童屋とスイトピー夫妻が準備中の展示会場に来た瞬間、そこにいたスタッフの視線が二人に釘付けになったりといろいろあったが、とりあえず、黒薔薇は無事に公開の運びとなった。
「健司くん、これが黒薔薇なんだって」
「へぇ。これ、食えんのか?」
「……食べられないからね? グリンガムもよだれだしちゃダメ!」
ケースの前はわいわいと見物客で賑わっていた。
この機会に…とばかりに、藩王秘蔵のターバンやら、秘書官服やら、ついでに珍しい鉱石やら恩寵の時計やらといった、普段はあまり見られないものも展示されている。
「なんとかなったな」
その様子を見ながら、よっきーは一人、ほっと胸をなでおろしていた。
最初に事が起こったときにはどうなることかと思ったが、結果的に祭りをさらに盛り上げて、この国民たちの笑顔が見られたことはとても嬉しい。
「よっきーさん、おつかれさまです」
「よっきーおつかれ。ほら、差し入れ」
りんくとゆうみがいつの間にかよっきーの後ろに立って、フレッシュジュースを差し出していた。
これも、外のバザールで買ったものらしい。
「あ、どうも」
「ようやく一休み、ですか?」
「最近、ずっと働き通しだったもんね」
「いや、むしろこれからだから」
よっきーはジュースを一口飲んでから、そう言った。
まだバザールはようやく形になったばかり。
これからどう発展していくか、それはこの先のよっきーたちの働き次第だろう。
「そうですね。これからも気は抜かないようにしなくっちゃ」
「僕もなんかお店出してみようかなー」
「あー。いや、そんなにはりきんなくても……」
いきなりやる気で銭湯を出そうか、とか話し始めた女性陣に苦笑しながら、もう一口ジュースを口に含む。
それはとても甘く、新鮮な冷たさで。
よっきーはバザールもちょっとはうまくいってるんじゃないかと満足そうに少しだけ笑ったのだった。
END
* * *
ひとまず無理やり終わらせました。
あいだ的には恭兵さんがんばったり、きっと健司くんが通りかかりで手伝ってくれたり、NEKOBITOさんたちが巻き込まれたりとドラマがあった気がするのですが(笑)
時間がないので終わらせましたー。
よっきーさんを最後まで捏造してしまった…(笑) ごめんなさいv
ごめんなさい、おとーさまのお名前なおしましたー(>_<)
え。LOVEはかなり抑えたつもりだったんですよ!(笑)
愛は注いでナイデスヨ、まだ(爆)
りんくさんが恭兵さんLOVEなのがすごくよくわかりますww
ごちそうさまでした(゜人゜)
よっきーはこんな感じだと思います。
実際中の人はただの少年ではないので正解かとー。
あと。
> 「少なくともこの国で。悪童屋四季の治めるこの地で、不正が罷り通るとは思わないことだ」
悪童さんの姓名の間にスペースか・を入れてあげてくださいw
「それで、気がついたら僕の頭を真っ白にしていた、と…」
「にゃあ」
そのとおりだ、と言わんばかりに豆腐がちょっとなさけない声をあげた。
豆腐が、なぜこのような事態に陥ったのか、ということを身振り手振りを交えながら説明し終えたところだ。
真っ白い豆腐に乗られたせいで、よっきーの頭は見事なまでに白髪になっている。
豆腐の情けない声は、それに対しての申し訳なさかららしかった。
とはいっても、よっきーは別に怒っているわけではなかった。
話を聞くのにちょっとばかり時間を食ってしまったが、彼の思考はすでに別のところにとんでいる。
すなわち、この白い粉はいったいなんであったのか、ということだ。
「どうもきな臭いな。こういった露店には、裏の流通がつきものだが…」
いわゆる闇市、ブラックマーケット。
どこにでも現れるといって過言ではないが、あまり裏のものが国内で流通するのも困りものだ。
第一、治安にとっては非常によろしくない。
「まずは成分の分析から始めるか」
「にゃ」
豆腐が再び軽やかに地を蹴った。
どこに行けばいいのかはもうわかりきっているといわんばかりだ。
それを見送って、よっきーは再び執務机に向かい、何事かの手配を始めた。
「少なくともこの国で。悪童屋 四季の治めるこの地で、不正が罷り通るとは思わないことだ」
その時のよっきーの顔は少なくともただの少年のものには全く見えなかった。
一方その頃。
豆腐は通称科学班と呼ばれる整備士たちの元へとやってきていた。
整備士はI=Dや機械のことに強いのは当然であるが、その中で少し方向が違うものたちが集まってできた自然発生的な集団である。
よっきーからすでに連絡はいっていたらしく、豆腐の毛に付着していた白い粉を採取すると、彼らはすぐにその成分の分析を始めた。
この国は、正確さはもとより速度を重視する。
さまざまな検査が何人かの手で同時に行われ、その数時間後には大体の組成が明らかとなっていた。
「デンプン77%、グリアジン9%、グルテニン4%……」
「で? 結局なんなんだ」
「こちらは、小麦粉です」
すでに陽は傾き始め、よっきーの部屋にも夜の帳が落ち始めていた。
やや薄暗いその部屋の中で向かい合う二人の人物。
そっけなく言った部屋の持ち主でもあるよっきーの前にいたのは奥羽恭兵だった。
そのわきには、なぜか何匹かの猫もいる。
「小麦粉の流通が問題なのか?」
「いえ、問題はそちらではなく……」
ぱさ、とよっきーの机の上に資料が広げられた。
白い粉の成分は小麦粉である、という調査結果と何枚かの写真。そして、追記。
「追記。なお、小麦粉以外にわずかに付着していた物質の組成は、99%の確率で砂漠の薔薇と同質である、か。なるほど」
「先ほど探らせた所、壷の中に小麦粉をいれ、それを隠れ蓑及び緩衝材として使用して砂漠の薔薇を密輸しようとしている一団がいることが確認されました」
写真にはなるほど、白い粉の中からわずかに見える花のような砂のようなものが写っている。
悪童同盟の特産品にして土産物ナンバー1、砂漠の薔薇であることは間違いないのだろう。
「なんでただの土産物をわざわざ?」
「……我が国には、燃料生産地があることをご存知ですか?」
「ああ、まあ、一応は」
曖昧に恭兵はうなずいたが、むしろ知らないものなどいないだろう。
わんわん帝國で最も燃料を産出しているのは、悪童同盟で間違いない。
「その生産地周辺でも、砂漠の薔薇はとることができます」
「……」
「通常は、なんの変哲もない――それこそその辺の土産物屋にだって売っている砂漠の薔薇ですが、ごく稀に非常に『黒い』砂漠の薔薇が採れる事があります」
「黒いって言うのはまさか……」
よっきーは恭兵を振り返りもせずうなずいた。
「それは、通称黒薔薇とも呼ばれ、一部マニアの元では非常に高値で売買されていると聞きます。また、その結晶自体が非常に効率のよい燃料であることもわかっていて、それなりの大きさの結晶が一つあれば一家族が一冬楽に越せる、とも言われています」
※作者注:ファンタジー設定です(笑)
「ほう。そりゃすごいな」
「だからこそ、密輸という手段に出る輩がいたりするんですが…」
よっきーはそこで深々とため息をついた。
「当然のことながら、それは看過すべきことではありません」
「だろうな」
猫たちもにゃーにゃーと憤慨の意志を表している。
「とりあえず、行ってくる」
「よろしくお願いします」
「にゃー」
扉から出て行く恭兵に続いて、走り出す12匹の猫たち。
我らこそがこの国を守るのだと言わんばかりである。
悪童同盟に来てしばらく経つせいか、もう恭兵も特にその光景に違和感を感じない。
こうして、即席で結成されたチームは、賑やかなバザールの暗部へと踏み込むことになったのである。
* * *
設定を捏造しすぎたのと、よっきーさんを捏造しすぎた感があります。
ツッコミお待ちしてます…(汗)
くすくすと見送りながら、りんくは書類を整理し始めた。
りんくの待つ彼が帰ってくるまではしばらくあるだろうし、最近働きすぎている藩王にもできる限りゆっくりしてほしいから、悪童屋がいなくてもできることは今のうちに全部すませてしまうつもりだった。
「バザールも本当に盛況だったなぁ」
さきほど行って帰ってきたばかりの場所がある方向の壁にちらりと目を向ける。
わいわいがやがやと賑わう音が、ここまで聞こえてきそうだった。
「こんな日ほどなにか騒ぎが起こりやすい、って恭兵さんもおとーさまも言ってたっけ……」
ぽつりと呟いたりんくの言葉は、微妙な形で当たることになる。
というか、すでに事件はその日の昼には始まっていた。
「にゃーーー!!!!」
「そっちへ行ったぞ!」
「待て、このっ!」
「(ごめんごめんごめんってばー!!!)」
猫の姿でにゃーにゃー言ったところで、誰に通じるはずもないが、豆腐は路地裏を全速力で駆け抜けていた。
事の始まりはごく単純なこと。
バザールを見物に来ていたついでに、通りかかった店先の壷を前足でちょん、とつついたらそれが盛大に倒れてしまった。
さらに悪いことに、壷の中にはなんだか大切なものが入っていたようで店の主人の顔が一気に青ざめた。
豆腐としては特に悪気はなかったのでごめんなさいの意味をこめて主人のもとに行こうとしたのだが、そのときまたもや意図せずして隣の壷まで倒してしまった。
「なっ…!」
今度こそ店の主人は立ち上がって、豆腐の首根っこを捕まえようとした。
店の近くの路地から怖い黒ずくめの人たちまで出てきてしまったので、豆腐は思わず逃げ出してしまったのだ。
謝ろうとした結果がこんなことになってしまって、豆腐は申し訳ない気持ちでいっぱいであったが、それと同時にふと思う。
「(あんなに怒るっていうことは、そんなに大事だったのかな、あの白い粉……)」
壷を倒したときに思いっきり被ってしまった粉で真っ白になりながら、豆腐はぴょんと飛び上がると民家の屋根から王宮を目指して走り出した。
ぽすん、という奇妙な音でよっきーは顔をあげた。
摂政の執務室に、そんな音を立てるものを置いた覚えはなかった。
祭の開催初日であっても、いや、初日だからこそやらなければいけないことは山ほどあったし、他の事にかかずらっている暇などありはしなかったが、なんとなく気になって部屋をきょろきょろと見回してみた。
摂政の勘、と言ってしまえばそれまでだが、実は摂政とはどこの国においても大抵、苦労人で不幸になることが多いことで知られている。(半分誇張)
その勘に従ったせいなのかなんなのか。
窓から外を見ようとしたその瞬間。
頭の上に何かが落ちてくる気配がした。
ぽすん。
そして、静寂。
「……にゃぁ」
「豆腐くん?」
一人と一匹は、なんとも間の抜けた声をあげたのだった。
* * *
ひとまず区切ります。
よっきーさんの考えられているものと違った場合は無視してください;;
悪童屋は祭りの最中であるにもかかわらず、いつも通り書類にペンを走らせていた。
しかし直接外部に通じる窓を持たない執務室の中にも祭りの活気と熱気は伝わっている。
(日が落ちるような時間になっていてもこれだけの活気があるとはな。
今日中に書き上げねばならない書類だけ仕上げたらまた奥方を連れて見て回るか。
昼とはまた違った趣もあるだろうし……)
悪童屋はそこでペンを止め、最近ゆっくり会えてないしな、と呟いた。
一息つこうとコーヒーカップに手を伸ばし、口元にやったところでその中身が空だと気づく。
そういえばさっきも同じ事をやったな、と思い出すと自然と苦笑が漏れた。
気分転換がてらコーヒーの追加でも淹れに行くかな、と大きく伸びをする。
それとほぼ同時に、コツコツと扉を叩く音が二つ。
こんなタイミングで誰だろう、と訝りつつも入室を促す悪童屋。
失礼します、と一声かけて入ってきたのは奥羽りんくだった。
彼女の持ってきた小型のワゴンの上にティーセットを載せているのが見て取れた。
「お茶持ってきましたよー。一息入れてください」
「ちょうど気分転換したかったところなんだ。ありがとう」
「じゃあ早速準備しますね」
ティーポットにお湯が注がれると、茶葉が開き始めると共に澄んだ香りが部屋中に広がる。
「へえ……ジャスミン茶かい、珍しいね」
「ええ。さっきバザールで買ってきたところなんですよ。
いままで国内では手に入りにくかったものもいっぱいあって、見ているだけでも楽しいです」
「なるほど、でも先に恭兵に飲ませたかったんじゃないのかい?」
恭兵の名が出ると反射的に手を頬にやるりんく。
「実はもう飲んでもらってるんです。買ってすぐなんですけど。
それでこれはいい品だから藩王様にも召し上がっていただけって……」
「なるほどね」
奥羽恭平はフロンティアスピリットに惹かれて集まった若者の多い悪童同盟にあって数少ない年長者の一人だ。
だからこそこういう細かい気配りもできるし、華やかさの影にあるものにも精通している。
(今頃は人知れず裏通りあたりで行われている闇取引の取り締まりでもしているのだろうな。
それにしても祭りの日くらいはパートナーとずっと一緒でもよさそうなものだが……)
俺が言えた話じゃないな、と思い至った悪童屋の表情が少しだけ動いた。
「どうか、されました?」
ティーカップの中で輝くジャスミン茶をサーブしながらりんくが問いかける。
「ああいや、仕事に一区切りがついたらまた露店でも見て回ろうかと思ったんだが……」
その後が続かず、次の言葉を捜す時間を稼ごうと目の前に置かれたお茶に口をつける。
口の中に広がった芳香のおかげで、事務仕事の連続に凝り固まっていた気分が少しほぐれた。
「その、奥方に何かプレゼントでもと思ってね。そこでちょっと参考に聞きたいんだが、
どういうものを買ったら喜ばれるだろう……かな」
「そういうことを私に聞くんですか?」
答えは私が言わなくても分かっているんでしょうとばかりに悪戯っぽく微笑むりんく。
「じゃあヒントだけ教えてあげます」
そう言って壁にかけてある時計を指差した。
「やれやれ、色々とお見通しだったかな……」
「そりゃあ私だって女の子ですから、ね」
「分かった。この一杯だけいただいたら出かけるとするよ」
「はい、ではその間にいままでに処理された分の整理しておきますね」
悪童屋はくい、とカップに残ったジャスミン茶を飲み干すと、
見送るりんくにありがとう美味しかったよと言い残して執務室を足早に立ち去った。
愛する人に「一緒の時間」という最高のプレゼントを届けるために。
設定文やSS系はこちらの枝にどうぞ。
*締切延長についてのお知らせ
先日お知らせいたしました「新臣民支援のマイル募集」及び「FVBナンバリングイベント対策函ゲームの参加者募集」につきまして、締め切りが延長されましたこと改めてご連絡させていただきます。
(1)新臣民支援のマイル募集
URL:http://trpg-2maho.sakura.ne.jp/hankoku/wforum.cgi?no=1639&reno=no&oya=1639&mode=msgview&page=0
締切:7/20 23時 ⇒ 7/23 24時
(2)FVBナンバリングイベント良対策函ゲームの参加者募集
URL:http://trpg-2maho.sakura.ne.jp/hankoku/wforum.cgi?no=1632&reno=no&oya=1632&mode=msgview&page=0
締切:7/20 22時 ⇒ 7/22 24時
以上となっております。
皆さまのご協力、なにとぞよろしくお願いいたします。
いつもお世話になっております。万屋ポーレポールより、お中元のご案内に参りました。
万屋ポーレポールでは、アイドレス世界のお中元を取り扱っております。
お世話になったあの人や、助けてくれたACEの方などに、感謝の気持ちを表してみませんか。
一件5マイル。纏め買い割引ありのご奉仕特化で、お中元の発送を承らせて頂きます。 複数の方と共同でマイルを出し合う事も可能ですので、この機会に是非、お一つどうぞ。
なお、受付期間は7月31日までとなっております。
http://www31.atwiki.jp/porepole2/
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