●猫
悪童同盟の夜は猫妖精達が守っている。
耳と尻尾をピコピコ揺らし、我が物顔で夜の国を歩き回る。
そんな彼らには大事な仲間がいる。
それは『猫』だ。
悪童屋は厳しい側面ばかりが有名になっているが、別に無差別なわけではない。
やる事さえちゃんとやっていれば何も言わないし、猫妖精はそのおかげで自由にしている。
そして悪童屋、実の所可愛いものに目がない。
これまで旅してきた藩国で貰ったぬいぐるみなんかも丁寧に部屋に飾っている。
ウッカリつっこんだ国民がヒドイ目にあったとか言う噂もあるが、とりあえず悪童屋の可愛いもの好きは暗黙の了解になっていた。
そういう人間が治めているから居心地がいいのか、悪童同盟には多数の猫が住み着いている。
彼らは夜ともなれば活動を活発にし、我が物顔で夜の国を歩き回る。
だから猫妖精と猫が出会うのは当たり前と言えば当たり前で。
仲良くなるのも共和国の人間だから当たり前と言えば当たり前で。
そんな『当たり前』をてらいもなく実現できてしまう彼らを、悪童屋は密かに優しい眼でみていた。
しかし猫だから仕事をしないのは当たり前、という理屈は悪童同盟では通じない。
使えるものなら猫でも使う。猫妖精が友達ならセットでいいか、ぐらいは平気で言う。
そんなわけで、猫は猫妖精の仕事の手伝いをする事が頻繁にある。
コパイやオペレーター、夜間戦闘など、猫の持つ野性の勘が役立つ局面は非常に多い。
普通なら感じ取れない猫の気配を、猫妖精は敏感に感じ取って作業にフィードバックする。
白兵戦などは日頃の散歩で培ったコンビネーションが生きるわけで、悪童屋の無茶ぶりとも思える猫を実戦に起用するという策もあながち検討はずれではなかった。
おかげで国内では猫が大量に増え、飛行場にも工場にも町中にもオアシスにも、どこにだって猫がいる国になっていた。
そのうち猫の神様とか祀りだすんじゃないかという有様になっている。
猫の溢れる我が国を見て、悪童屋は可愛いからいいやと言ったとか言わないとか。
ともあれ『猫』は悪童同盟の大事な一員なのだ。