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藩国保有施設一覧?
悪童同盟は砂漠の国である。
砂漠の国であるということはすなわち昼夜の温度差が激しいということだ。
季節と条件によってはその温度差は 100 度にもいたる。
そして温度差が激しければ物体はそれに比例して膨張、あるいは収縮する。
素材が鉄の場合、その膨張率は 12*10^-6/K であり……
まあこのままの調子で続けると長くなるから詳しいことは省略するが、
ありていに言ってしまうと鉄道のレールがこの温度差に耐えられないのだ。
さらに砂漠特有の砂による部品や施設の磨耗が加わればすぐに寿命が訪れる。
それゆえ鉄道の発達してこなかったこの悪童同盟であったが、
帝國環状線のプロジェクト発足に伴い鉄道の路線を敷設する必要に迫られた。
そこで解決策として出てきたのが地下路線の敷設である。
地下鉄は建造コストこそ高いものの、地下にトンネルを掘り地層をバリアとして使うことで
地上の急激な温度差や砂によるダメージから逃れることができるのだ。
結果として補修などのランニングコストは地上に敷設するよりも安くなる。
とはいえ、トンネルの長さに比例してイニシャルコストが膨れ上がるのもまた事実。
トンネル長をできるだけ抑えるために環状線の駅は国境近くに設営されることとなった。
駅から国内各所への移動は専ら自動車を用いると言うのが当初の計画だったのである。
そこに現れたのが一つの計画──ＧＤＲ計画である。
ＧＤＲとはＧｒａｖｉｔｙＤｒｉｖｅｎＲａｉｌｗａｙの頭文字をとったものであり、
日本語に直訳すると重力駆動鉄道というものである。
これは線路に高低をうまくつけることによって位置エネルギーによる加減速を行い、
車両の移動に投入する電力エネルギーを従来の十分の一以下にするというもので、
イメージとしては遊園地のジェットコースターに近いものだ。
もちろん技術的なハードルは決して低いものではなく、
また共通企画の環状線そのものには適用できないシロモノであったが、
国内で地下鉄を敷設する原動力としてはまたとないものとなった。
これに加えて環状線地下路線を掘削するのに使ったシールドマシンの存在や、
気軽に国外への旅行が可能な環境を希望する国民たちの声にも後を押される形で
悪童同盟の国内にも独自の地下鉄路線が敷設されることが決定した。
現状では工業地帯入口と環状線乗換駅そして城門前の三つの駅が存在する程度だが、
今後さらなる利便性を追求して駅の拡充などが予定されており
国民の足としての存在感を増していくであろうことは確実視されている。
余談ではあるが、この地下鉄の駅には新たな素材として集光ファイバーが利用されている。
地上で集めた光をファイバーを通して地下の駅へと誘導することによって昼間の照明費用低減はもちろん、
ファイバーを通すことによって幾分柔らかくなった自然光によって安らぎの空間を創造する。
さらに地下の安定した環境との組み合わせによって植物の育成を促進することができ
砂漠の国に珍しい緑の空間を提供する施設として好評を博している。
